パリ五輪のバスケの試合が始まってから、一喜一憂の毎日を過ごしておりますが、昨日ついに男子バスケ日本代表のグループフェーズが終了しました。
結果はご存知の通り、0勝3敗ということで、東京五輪同様勝利を挙げることができませんでした。
そして、目標のベスト8(グループフェーズ突破)を達成することはできませんでした。
しかし、ファンだけでなく選手も口にしているように、手応えや達成感のある3試合になりました。
多くの人がいろいろなところで戦術や審判の判定など議論されておりますが、僕は僕なりの視点で3試合の振り返りを書いていきたいと思います(今後の展望については今度書きます。長くなったので笑)。
パリ五輪グループフェーズ
第1試合 vs ドイツ
ドイツ 97 – 77 日本 (28-21 / 24-23 / 22-17 / 23-16)
正直このあと書くフランス戦とブラジル戦のインパクトで記憶が飛んでしまったところがあるのですが笑、点差的には昨年のW杯とほぼ同じような結果になった。
日本が八村も入れたフルメンバーであることを考えると、ドイツの強さを感じずにはいられない。
以下は印象的だったこと↓
- スタメンの2番ポジションに吉井を投入し、河村・吉井・渡邉・八村・鷹ちゃんというDF重視のラインナップにし、シュルーダーに吉井、オブスト(シューター)に河村というマッチアップにした。
- リバウンド数ではドイツを上回り、世界の強豪相手に長年の課題を一つクリアした。
- 吉井は30分ほど出場し、10点6リバウンドというBリーグの試合でも見せないような大活躍だった。
- ↑により、富永の出場機会が極端に減った。得点差が縮まってきた前半の最後に出場し、後半に向けて流れに乗りたかったが、わずか49秒のなかでここまで抑えていたオブストの3を献上してしまい、その後の出場はなかった。守備面での不安をさらに強める結果となってしまった。
- シュルーダー、バグナー弟の個人能力もさることながら、ドイツのチーム力に脱帽。タイスとボンガの3はある程度捨てていたと思うが高確率で決められてしまい、押さえようがなくなってしまった。
- ドイツは守備の圧力も凄まじかった。この後の2試合で爆発することになる河村が抑えられていたのは、組織としての守備力の高さゆえだろう。
前半8点差は、昨年度のW杯とは大きく違い「勝負」できたと言えるだろう。ただ、最終的には20点差であり、このレベルのチームに勝つには前半リードをしておくくらいでないといけないのだと思う。
そうしないと、不調の選手や守備面で不安のある選手を出すことができない。得失点差を気にしていただけに、より難しい采配になったと思う。
実際、富永だけでなく、馬場も不調で出場時間が伸びず、比江島もすぐにファールをしてしまって出場時間が伸びなかったのが悔やまれる。
特に比江島は、佐々木クリス氏も河村に次ぐハンドラーとして期待を寄せていたように、オフェンスでは吉井にない良さを持ち合わせている選手だっただけに残念であった。
ホーバスは3に注目されがちなHCだが、改めてディフェンス重視なのだと思わされた。
第2試合 vs フランス
日本 90 – 94 フランス (25-32 / 19-17 / 20-20 / 20-15 / OT 6-10)
悔やんでも悔やみきれない敗戦となってしまった。というのも、4Qの残り16秒の時点で4点リードしていたのだから…
正直、フランスのサイズとタレントを考えると、どれだけ頑張っても大敗してしまうのではないかと思っていたが、日本の驚異的な頑張りと相手の完成度の低さのおかげで勝利まで後一歩という試合をすることができた。
以下は試合の感想↓
- 日本のスタメンはドイツ戦から変更し、吉井のところに比江島を2番に入れて攻撃の手数を増やしたラインナップ。
- 試合の序盤こそ、ウェンバンヤマの圧倒的な能力に怯んだ感じもあったが、前半は5点ビハインドで耐えることができ、勝負は後半という形になった。
- 日本のプレーを受けて(それとも采配ミスか?)、ゴベアとウェンバンヤマのツインタワーを相手がやめてくれて、相手の高さの利を消すことができた。
- 八村の圧倒的な個人能力に助けられて、4Qを5点ビハインドで迎えることになった。
- 4Q開始早々、八村がアンスポ2回目を宣告されて退場することになった。
- ここで終わりかと思われたが、河村劇場が開幕。加えて、ヒューのゴベアに対するスーパーブロックが炸裂、鷹ちゃんのウェンバンヤマへの厳しいディフェンスなどもあり、八村不在をチームで乗り越えた。残り16秒で4点リードし、ほとんど勝ちかけた。
- しかし、ここで相手のガードに4点プレーを献上してしまい、OTに引きずり込まれたエース抜きの日本は力尽きた。
- OTではここまでプレータイムのなかった馬場や富永が出場した。比江島が最後に決めた3はこの試合だけでなくベスト8進出のために重要な得点となった。
いろんなメディアで取り上げられた「4点プレー」だが、個人的にはプッシングならノーコールでも良かったほどの接触ではあったと思う(肘に手が当たっていたというのならわかる)。
しかし、皆が言っているように、4点差でわざわざハードにディフェンスをする必要はなかったので、こうなってしまったのは「経験値」のなさとしかいいようがないから、次に活かしていくしかない。
河村の驚異的な活躍は、KD、ルオル・デン、ドンチッチしか達成したことのない「25点以上、5リバウンド以上、5アシスト以上」という記録となり、世界中で知名度を上げた。
この試合も吉井の活躍が光った。ヤブセレに負けないフィジカルや、しつこい守備でゴベアからオフェンスファールを引き出すなど、改めて日本代表にはなくてはならない存在だと知らしめた。
とにかく悔しすぎる敗戦となったが、shock the worldは間違い無く成し遂げた。
第3試合 vs ブラジル
日本 84 – 102 ブラジル (20-31 / 24-24 / 29-22 / 11-25)
2連敗となってしまった日本だが、このブラジル戦に点差をつけて勝てば他グループの結果次第ではまだベスト8の目標が達成できるという大事な最終戦を迎えた。
この試合開始の数時間前、八村の怪我によるチーム離脱が発表され、多くの日本人が悲しみに暮れたことだろう。
ただ、僕は去年八村抜きでオリンピック出場を決めた経験もあるし、また八村がいろいろな面でチームに噛み合っていないという懸念もあったため、八村抜きでも問題ないのではないかと思っていた。
以下は試合を見た感想↓
- 八村が抜けたスタートには、比江島を投入し、河村・比江島・吉井・渡邉・鷹ちゃんというラインナップになった。
- 序盤、相手PGのウェルタス(41歳!)のピックアンドロールに対してドロップ気味に守っていた(と思う)が、尽くジャンパーを決められてしまう。これにより?、アウトサイドのディフェンスが緩くなり、3ポイントも面白いように決められてしまった。
- 点差を広げられたら万事休すという2Qでは、東京五輪組(馬場、富樫など)が活躍し、なんとか試合を終わらせずに済んだ。
- 前半のブラジルの3ポイント成功率は11/13で85%!こんなの聞いたことないよ。。。ってくらい決められてしまったが、なんとか11点差で折り返した。
- 後半の初め、先に5点差くらいに持っていければ控えを使うなど優位に試合を進められると思っていたが、15点差くらいまで広げられてしまった。それからの日本の追い上げは驚異的だったが、4点ビハインドで4Qを迎えることになった。
- 後半は河村、馬場、吉井、渡邉、鷹ちゃんのラインナップを増やし、ピックアンドロールにスイッチで守るようにしたことで相手の攻撃を抑えることができた。
- ブラジルはここまでの2試合とも後半に失速していたため、日本が優勢だと思った。実際、4Qの初めには鷹ちゃんの3で1点差にまで詰め寄った。しかし、その後の日本の体力は残っていなかった。
- 6点ビハインドのところから、ブラジルはウェルタスを投入。3とジャンパーを決めて11点差にされ、日本の追い上げの勢いは完全に無くなった。
八村不在のため、いつもより総力戦になると予想されたが、出場時間はこれまで出ていたメンバーに偏ってしまった(この試合好調だった馬場以外)。2Qには思い切ってテーブスを1番で起用するなど、控えに託す時間もあったが結果的には時間つなぎ程度で終わってしまった。
個人的に悔やまれるのが、前半終了時点の終わり方。前半の日本の最後の攻撃時点で8点ビハインドだったが、早めに打ってしまった富樫の3が外れ、逆にブラジルに3を決められてしまい11点差になるという終わり方が良くなかった。5点差で終わっていたら(あるいは最低でも8点差であったら)、後半の追い上げに使える体力は違ったはずだ。
八村不在で困ったのは得点というよりも、相手のカボクロに好き勝手やられる技たことだろう(33得点、17リバウンド)。
また、選手起用も難しくなった。もし八村がいたら、後半の馬場と吉井を併用したラインナップに近い形を常に組めていたことになり、守備面で安定していたことが想像される。
采配についてはホーバスにももっとやりようがあったようにも思うが、先にも書いたようにリードされている展開を作ってしまったため、まずは守備面で安定したメンバーを使う必要があり、そこに不安のあるメンバーはなかなか試合に絡めなかったのだろう。
おわりに
今大会も3連敗、東京五輪から考えると6連敗となって終わってしまいましたが、全く悲観的になる内容ではなかったと思います。
まず、世界の強豪とも本気の試合を挑んで戦い抜けただけでも大きな成長ですし、実際勝てそうなレベルまで来ていることが確認できました。
また、最終戦は八村不在という大ピンチでしたが、選手もファンもそれでもいける!と本気で思えるほど、戦える集団を作れたのが何よりの財産です。
選手もスタッフも、成功と教訓を噛み締めて、今後もバスケ界のさらなる発展に尽力してくれることでしょう。
Xでは沢山小言や弱音を呟いてしまいましたが、何より思うことは「感動をありがとう」ということです。
男子日本代表の皆さん、お疲れ様でした。
まだまだみたい!と思うチームを作ってしまったので、これからもまだまだみさせてくださいね!
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