前回の投稿では、女子バスケ日本代表のパリ五輪前強化試合最終戦について書きました。
かなり苦言を呈する内容になってしまい、嫌悪感や怒りを買ってしまったかもしれませんが、昨日書いたことが僕の「本音」です。
とはいえ、疑問に思うことは多々あるけれど、本当に頑張って欲しいと願っていますし、パリ五輪の試合を楽しみにしています!!
さて、男子バスケ日本代表もパリ五輪前に強化試合を行ったので、今回の投稿ではその内容について書いていきたいと思います。
強化試合 vs セルビア
前回の強化試合で対戦したドイツは、昨年のW杯でも対戦した相手であり(そして、この大会優勝)、パリ五輪でも1試合目に対戦する相手です(世界ランキング3位)。
今回の強化試合で対戦したセルビアは、昨年のW杯でドイツに決勝で敗れて2位、世界ランキングは4位のこれまた世界トップ級のチームです。
2試合続けてこのレベルの国と対戦できるだけでも、かつての日本からすればすごいことですよね。とても感慨深いです。。。
それはさておき、今回の強化試合の結果は以下のとおりです。
セルビア 119 – 100 日本
(1Q: 33-23、2Q: 26-29、3Q: 32-18、4Q: 28-30)
女子の試合と同様、試合を見た所感を書いていきたいと思います(ただし、目標がベスト8である男子は女子とは違って甘口評価です)。
- 待ちに待った渡邊雄太復帰!そしてスタメンはなんと、河村、吉井、渡邉、八村、鷹ちゃん(サプライズ吉井!)
- ドイツ戦同様、開始直後に10点くらいリードを作られるもすぐに追いつく粘り(欲を言えば、格上相手には先にリードを作って相手にストレスを与えたい)
- 吉井スタメン起用は的中。DFにコーナースリー、カッティングなど、必要なピースであることを見せつけた(ただし、コンビネーションを考えると、吉井のところに馬場を入れてあげるのもありか)
- シュート確率がよく、前半終わって7点ビハインドの善戦(3ポイント 8/20で40%)
- 3Qでは実力を見せつけられ、20点差以上をつけられゲームは「終了」(もちろん、日本の驚異的な粘りからの逆転勝利はありうるけど、世界とのトップクラスの国には逆転できていない)
- 4Qでは謎に3ポイントがよく入ったため点差を縮めることに成功
- 以下は個人↓
- 八村の能力は世界トップ国を相手にしてもチートレベル。この武器を生かさない手はない
- 渡邊雄太の安心感。復帰戦であれだけ質の高いプレーができるのは流石のNBAプレーヤーの一言
- 鷹ちゃん(と八村)はファールトラブル気をつけて
- 富樫のゲームメイクはさすが。河村は最後シュートが入ったから復調を期待
- 富永と馬場は本戦で勝負強さを見せてくれ。マジで。。。
- ジェイコブスは将来が楽しみすぎる。セルビア相手に3ポイントを決めてエンドワンも決めて6点とってしまう強心臓
- 比江島はハンドラーとしても期待。どうかスイッチいれてください
- ヒューは高さを生かしてがんばれ。ファールにはなったけどダンクを易々と叩き込まれない高さは日本の武器
- 吉井さん、役割が変わっても引き続きよろしくお願いします
- テーブスは…2番としてしか出れないのなら、正直使い道が少ない。ディフェンスなら吉井(か馬場)、シューターが必要なら富永、シュート+ハンドラーを期待するなら比江島、これら全部がダメだった時にテーブス。いや、いつ出番があるんですか…申し訳ないけど、今回はコート外で盛り上げたりチームのためにできることを頑張って
まとめ 〜パリ五輪で奇跡の一勝をもぎ取るには〜
総じて言えば、NBAドラフトにかかった選手が何人もいて、昨年W杯で準優勝したチームにNBAのMVPヨキッチを加えた優勝候補のセルビア相手に100点とって19点差の試合をしたのは立派!
って、「1週間以内に本戦を控えているのにお気楽なことを」と思われてしまうかもしれませんが、男子バスケではこの現状を喜ぶのが適切なリアクションかと思います。
弱小だった今までを考えるとすごい進歩だ!というのもそうなのですが、それを抜きにしても現状でこのような試合ができていることを喜ぶべき理由があります。
それは、男子代表の目標であるベスト8(予選グループを勝ち抜くこと)を達成するためには、強豪国相手にボロ負けしないことが重要だからです。
たとえば、残念ながらドイツとフランスに負けてしまったとして、ブラジルに勝てたとしましょう。
その際、他の2グループの3位のチームと得失点差を争うことになるのです。
実際、東京五輪でさえも最終戦のアルゼンチンに勝てさえすればグループを勝ち抜くことができるという状況でした。
他グループ次第という苦しい勝ち方ではありますが、今の日本代表はそれでもいいからなんとか一歩進むことが大切です。クリーンに強豪国に勝って目標達成という一筋縄では行かないと考えておいた方が良いのです。
とはいえ、当然ドイツやフランスから勝利をもぎ取ることを諦める必要もありません。
ドイツは世界トップ国の中では日本が戦いやすい相手なのではないかと思っています。高さで圧倒されることもないですし、チームプレーが売りという意味では日本と似ているからです。
そして、去年のW杯でガチンコ勝負ができていて、さらに今年の強化試合で対戦できていることも、若い日本代表からするととても大きな経験です。
八村、渡邉が加わったベストメンバーの日本とドイツは対戦したことがないので、もしかしたら想定外の展開になることだってあり得ます(ホーバスのことだから、しっかり作戦も用意していることでしょう)。
フランスは、224センチで軽やかに動いて3ポイントも打ててしまうウェンバンヤマという異次元な選手がおり、また216センチの守護神・ゴベールがいることを考えると、まず高さの面で相性が悪いと思います。
開催国であることを踏まえても、フランスに勝つのはドイツに勝つよりも難しいと個人的には思っていますが、諦める必要もありません。実は、フランスは直前の強化試合でセルビアに負けているのです。
オーストラリアとの強化試合にも敗れていますし、怪物軍団ではありますが付け入る隙がないわけではありません。
では、世界のトップ国に「奇跡」の一勝をあげるには、何が必要になるのでしょうか?
それは、すごく雑な表現になりますが、セルビア戦のような「殴り合い」に勝つことです。
世界の強豪同士が試合をしてもお互い止められないのが普通ですから、日本が世界のトッププレーヤーたちを止められないのも仕方ありません。だったらもう、殴り勝つしかないのです。
セルビア戦を例にあげると、セルビアの得点を10点低く抑えて、日本が10点を多く取れれば勝てていました。もちろん簡単なことではありませんが、できないこともないと思います。
実際セルビア戦では、日本のTOが11でセルビアは7でした。まずこれは反対にしないといけません。そしてそれができるのなら、TOからの失点を抑えて日本の得点につなげることができます。連携によるミスも多かったので、これは改善できると思います。あとは河村が自信を持ってシュートまで行くこと!!(きっとこれはやってくれるはず)
同様に、スティールの数も増やさないといけません。セルビアが6で日本が1しかありませんでしたから、これではやはり厳しい。でも恐れずにプレッシャーをかけてリズムを狂わすことができれば、もっと増えてもおかしくはありません(昨年のW杯でも手応えがありました)。
また、イージーな速攻をくらっていた場面もいくつかありました。これも連携のミスでノーマークを作っていた印象なので、本番までに十分改善ができると思います。ロールプレーヤーたちのファールも含めた戦略で解決して欲しいと思います。
ちなみに、日本と「同レベル」と目されていた南スーダンが、強化試合でアメリカを倒しかけたのは有名な話だと思いますが、このときも最終スコアは100-101でした。このような展開を目指すのが理想です。80点代の「しっかりと組み合った」バスケでは、世界を驚かすことはできないでしょう。
ホーバス体制になってから、このような「殴り合い」のマインドは選手たちに染みついてきたと思います。パリ五輪では相手のスーパープレーに屈することなく、「やられたらやり返す」気持ちで頑張って欲しいです。
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