つい先日男子バスケ日本代表のグループフェーズ敗退が決まってしまいましたが、昨日女子もベルギーに惨敗を喫してグループフェーズ敗退が決まってしまいました。
東京五輪で2位という素晴らしい快挙を成し遂げたので、他国から研究し尽くされ、またファンからの凄まじい期待とプレッシャーを受ける中での大変な3年間だったと思います。
男子サッカーのW杯でも1勝もできずにグループフェーズ敗退があった?と思いますが、みんな水に流して進歩し続けていると思うので、女子バスケもこれからの発展にますます期待したいと思います!
とにかくお疲れ様でした!心身ともによ〜く休めてください!
さて、、厳しいプロの世界では結果に対して監督の責任が問われてしまうもの。
恩塚氏はホーバスの成し遂げた世界2位のチームを引き継ぎ、優勝以外は失敗のような過酷の状態でチームを率いてくれましたが、残念ながら国際大会では結果を残せませんでした。
恩塚氏の去就について、端的に僕の意見を述べるなら、彼は日本代表HCを退くべきだと考えています。
ただし、これは恩塚氏を無能と思っているからでは無く、「適材適所」という言葉があるように、彼がいるべき場所が他にあると考えているからです。
Xやこのブログで恩塚氏の「批評」を書いていると、何人かの恩塚JAPAN支持の方が彼の凄さを教えてくれました。僕自身も過去の記事を読み直したり、Youtubeで恩塚氏が話しているものや彼に近しい人が話しているものをみたりしましたが、やはり退任すべきというのが僕の意見です。
(参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=0lAFXuhsZw8、https://www.youtube.com/watch?v=YIzRHzSS3a4、https://www.youtube.com/watch?v=orK4k2NGlMY)
恩塚氏のいるべき(僕がいて欲しいと思う)場所とはどこなのか。僕は以下の3つと考えています。
恩塚氏のいるべき場所
①育成年代のチーム or 代表
以前東京医療保健大学でインカレを6連覇を達成したように、やはり育成年代では彼の才能が遺憾無く発揮されると思います。これは「育成年代しか指導できない」というネガティブな理由では無く、人には向き不向きがあるからです。
たとえばものすごく優秀な人でも、幼い子供の扱いがうまくて好きなのであれば、大学よりも小学校で働くべきですよね。このように、一番向いているところで彼の才能を発揮するべきだと思います。
育成年代のチーム(たとえば大学)のHCがいいと思う理由の一つに、彼の考え方が好きな選手を集めて鍛えられるという点があります。代表チームは代表にふさわしい選手の中から選ぶしか無く、参加する以上は恩塚氏のいうことを聞くとは思いますが、どこまで腹落ちするかはわかりません。
そして、実際に合わないと判断された選手は、渡嘉敷ほどの逸材であっても選びませんでした。僕は、才能のある選手を活かさないのは代表のHCとしてはよろしくないと思いますが、恩塚氏が大学のHCならこのようなことは起こりません。
また、育成年代は目の前のことでいっぱいいっぱいな選手が多く、厳しい指導に怖気付いてしまうことも多いと思います。そんななか、彼の掲げているような「ワクワク」であったり、「なりたい自分になろう」というポジティブな声かけはすごく励みになると思うのです。
実際僕も、高校まで本気で競技に打ち込みましたが、大学では自分の才能では無理だと決めつけて競技から離れてしまいました。恩塚氏の指導方針が広まれば、このような人を減らしてくれるかもしれません。
さらに、今回の代表を見ていても感じたように、恩塚氏の目指すバスケはおそらく大人になってからでは身につけるのが難しいのだと思います。幼いうちから恩塚バスケのプレー原則などを学ぶことで、代表に入ってくる頃には1から教えなくても、声を荒げなくても、実践できるようになっているでしょう。
ホーバスの細やかな指導(悪く言えば、魚の釣り方では無く魚そのものを与える指導)からの進歩を目指した方向性は理解できるのですが、やはり選手がついてこられないのであればあのような結果にしかならないと思います。
以上の理由から、A代表HCから離れて若い年代をどんどん伸ばすのがいいと考えております。
②A代表のサポーティングスタッフ
「HCコーチを退任するのにサポーティングスタッフ?」と思われるかもしれませんが、僕は恩塚氏の目指している方向や知識、考え方を軽視しているわけではないので、A代表に関わるならHCではなくACやアナリスト?などを担ってもらえたらなと思っています。
恩塚氏もW杯後には「自分の指導は抽象的すぎた」と反省されていましたが、就任から3年経った今回の五輪でも選手には彼の考えが浸透していなかったので、やはり代表レベルでは彼の伝える力が足りなかったと言わざるを得ません。
HCのあり方は人それぞれだと思いますが、チームに考えを浸透させるためには、僕はなんらかの「熱量」を選手が感じないといけないと考えています。
たとえば男子アメリカ代表のHCスティーブ・カーも、大人しそうですがタイムアウト中に作戦ボードを破壊したこともありました。また、男子ドイツ代表のHCも、選手が言い合いをしていてタイムアウトの指示を聞かなかった時に、汚い言葉を使いつつ「座れ!」と騒動を鎮めていました。ホーバスは言わずもがなだと思いますが、「熱血漢」タイプのHCですよね(個人的には接し方が上手く、カリスマ性があるので問題ないと思っています。もちろん、全面的には肯定できないですが)。
これらの指導法が正しいわけではないけれど(むしろ、リスクはかなり大きいですが)、何かを浸透、定着させるには、やはり「熱量」を感じさせないといけないと思います。これは、僕の本職である教職でも全く同じです。人を動かすには熱量が絶対に必要なのです。
また、これは少し苦言になりますが、恩塚氏の「大人の女性を理解する」の一件は良くなかったと思います (参照:https://president.jp/articles/-/80471?page=2#goog_rewarded)。
「今だから言いますけど(笑)」と恥ずかしそうにしているところから、普段はこのようなお店に行かないタイプなのだと推測しました。だとしたら、ですが、そんな無理しなくても(もっと自分に合った方法があるのでは?)と思ってしまいます。
また、「夜のお店」に行った/行かないはさておき、僕が問題だと思うのは、このことを公表したことです。これをきいて選手は、「なんて熱心な監督なの」と感動するでしょうか?いや、ないでしょう。「だったら私に向き合って欲しい」と思うのではないでしょうか。また、どちらかといえばちょっと引いてしまいかねません。実際、私の身の回りにいる「大人の女性」の何人かはひいてしまっていました。だって、接する中で何か変化があったら、「あ、これは夜のお店の経営者から教わったのだな」と勘繰られたり変な疑問を持たれたりしかねないから。
勉強熱心なのはいいですが、「人の気持ちはわからない」ということには人と接する中で自分で気づくべきです。自分に向かってくるのではなく、他所で学んできた方法で接されても心は通いません。また、もしこのような手段を取ったとしても公にするべきではないと思います。なんでも正直に種明かしをすればいいというもんではないのです。
少し話はそれましたが、このようなことを「勉強」しないといけないタイプの人、つまり相手(代表クラスの選手)を惹きつける能力にたけていない人は、その部分を伸ばそうと時間を使うべきではないと思います。
こんなことに時間を使うくらいなら、彼の大好きなバスケのビデオを見て研究したほうがいいですし、自分が得意だった育成年代の指導に当たったほうがいいと思います。
また、「研究」でいうと、大学の教授がすぐに思い浮かぶと思いますが、彼らは小・中・高の先生よりも授業(教え方=指導とします)がうまかったでしょうか?
答えは大抵NOだと思います。もちろん大学教授もうまく教えて欲しいし、最近はそうなってきているようにも思いますが、「研究者=知識がある人=教える(指導する)のが上手い人」とはならないのは明らかです。
恩塚氏は代表レベルなら指導者ではなく研究者向きなんだと思います。だから、A代表に携わるなら、HCではなくサポーティングスタッフにまわるべきです。
③Wリーグのチーム
以上のように、育成年代の指導者か、A代表のサポーティングスタッフが適役かと思いますが、それでもやはり育成年代より上のカテゴリーでHCをというのなら、WリーグのチームでHCをするのもありかもしれません。
大学のように、自分の考え方に合う選手をリクルートできると思いますし、また、代表よりも長く時間を共にするので、恩塚バスケを浸透させられるかもしれません。
ただし、2点注意があります。
1つ目は、Wリーグの選手は学生ではないということです。Wリーグプレーヤーになれるほど成功してきたわけですから、エゴやプレースタイルを確立した立派な「大人」です。恩塚氏の考え方を本当の意味で受け入れはしないかもしれません。
実際、「ワクワク」という考え方は、僕自身教育者としては素晴らしいと思っていますが、僕が普段対峙している中高生でも「さむい」と感じる子はいます(少しませたタイプの子ですね)。
また、Wリーグプレーヤーは社会人なので、「ワクワク」など恩塚氏が大切にしている考え方を「企業の研修みたいだなあ」と感じてしまうかもしれません。実際、僕が恩塚氏の動画をみたときにそのように感じましたし、また私の知人では会社のコンセプトに「ワクワク」という言葉を入れているところもあると言います。学生にはすんなりはいっても、社会人にはちょっと「さむい」と選手に思われてしまうかもしれません。
ちなみに、代表の選手について言えば、この「ワクワク」の強調は不要だったように思います。東京五輪で銀メダルをとった選手たちですから、世界で戦えるという自信と自分たちの課題の認識を十分に持っていたはずです。そのような人たちは、次は金メダルをとってやる!という意欲があったはずです。「ワクワク」の強調は、水をさしたとまでは言わないですが、響かなかっただろうなと想像できます。
また話がそれました。。。
WリーグのHCになるうえで2つ目の注意点は、チームの活動期間は代表合宿より長いとは言え、やはり恩塚バスケを習得するには「遅い」かもしれないということです。遅すぎることはないにせよ、世界のトップチーム相手に瞬間的に体が動くレベルまでに落とし込むのは難しいかもしれないということです。ここにも「大人」である選手のエゴとプレースタイルが関わってきます。
以上より、やはり①・②がより適していると思いますが、Wリーグのほうが学生のクラブよりも社会的にインパクトがあると思うので、ここに彼の能力を捧げるのもアリかもしれません。
おわりに
恩塚JAPANから再確認したことは、どんなに正しい理論があったとしても、目の前にいる人に受け入れられなければ伸びないどころか不幸になるということです。残念ながら、選手たちも迷っているようでまるで生き生きしていなかったですし、ファンも不満だらけでした。
僕自身は英語教育に携わっており、大学院で「新しい」とされる理論や考え方を学びましたが、日本の英語教育のシステムの中ではそれらを導入するのにはとても慎重になります。それらがいくら正しくても、目の前にいる生徒に受け入れられなければ意味はなく、僕の正義を押し付けることで不幸にしたくは無いからです。
やはりこの姿勢は、どのカテゴリー・レベル・ジャンルであっても、指導者としては持っていなければいけないものなのだと再確認しました。
「何を偉そうに」と思われた方、その通りだと思います。
ただ、僕がこのブログで伝えたかったことの一つには、恩塚氏が無能なわけはないし、「ホーバスか恩塚か」みたいな二項対立がナンセンスであるということがあります。そして、恩塚氏には恩塚氏のいるべき場所、より彼の能力を発揮できる場所があると思うということです。
ホーバスが築いてくれたベースの上に載せるもの、進むべき道は恩塚氏の目指しているもので間違い無いとも思っています。だからこそ、日本代表のHCは退任して、彼の能力をしかるべき場所で遺憾無く発揮して欲しいのです。
以上が僕の書きたかったことになります。
内部事情をわかっていない僕が書くのはおこがましいですが、お読みいただいた方、ありがとうございました。
恩塚さん、結果は出なかったにせよ、日本代表を率いてくださりありがとうございました。
きっといつか、この3年間のチャレンジが報われる時が来ると思います。
お疲れ様でした。
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