前回の投稿では、サンドウィッチマンの魅力について書きました(遅まきながら)。
そして今回は、ナイツの魅力について書いていきたいと思います(これまた遅まきながら)!!
塙さんは度々引用させてもらっていますが、ナイツのネタについて分析したことは一度もありませんでした。
そこで今回は、ナイツの3つの魅力について書いていきたいと思います!(ナイツのネタはこちら)
① ヤホー漫才
「ヤホーで〇〇を調べたんだけど」という小ボケから始まる、塙さんの小ボケの連発を土屋さんが「訂正」していくお決まりのスタイルがなんといっても魅力的だと思います!
あのスタイルはミルクボーイと同様に唯一無二かつ再現可能な素晴らしいフォーマットですよね。小ボケが積み重なってどんどん笑えてしまい、最終的には爆笑してしまう仕組みになっています。
そして、土屋さんの「訂正」(ツッコミというよりも訂正に近い)も、非常に「ちょうど良い」と思います。
ツッコミとして目立とうと思ったら、もう少し声を張ったり大袈裟にしてしまったりすると思うのですが、土屋さんはまるでロボットであるかのように淡々と訂正していきます。
これは芸人さんの間でも評価が高いようで、塙さんの小ボケを引き立てるのに最適な方法だと思います。
「ヤホー漫才」というスタイルを確立しているからこそ、観衆は安心してナイツのネタを楽しむことができます。
塙さんの小ボケを楽しみに待ち、土屋さんの訂正を聞いて「そうだよな」と共感してしまう。「ヤホー漫才」はナイツの魅力の大きな部分を占めていると思います。
② 良い意味での適当さ
塙 (2019) にも書いてあるのですが、ナイツのネタは精密でありながらいい意味で「適当」です。そしてこれは、あえての「適当」なのだといいます。
どういうことかというと、塙さんはあえて台本にないネタをぶっこむのだそうです。
そうすると、土屋さんはその場でアドリブを強いられることになり、これが会話の「リアルさ」に繋がるのだといいます。
確かによく考えれば、芸人さんは同じネタをいろいろなところで披露していますし、練習も含めれば何度もやっていることになります。
同じことを繰り返しやっているとマンネリ化してしまうのは容易に想像できますよね。
だからこそ、きちっと台本をこなすというよりも、流れに沿いながらあえてアドリブを入れていくことで、マンネリ化を防いでリアルな会話芸を見せることができるのです。
余談ですが、僕自身も授業をやるにあたって同じことを感じます。
英語では同じ授業や同じような内容を教えることが多々あるわけですが、こちらが飽きてしまうとどうしても面白い授業はできません。
だからこそ、僕はあまり準備をしすぎず、現場の生徒の様子を見てどのように教えるかを考えるようにしています。これはナイツのやっていることとよく似ていると思います。
閑話休題。また最近では、ナイツのネタは時々あらぬ方向に向かっている(=塙さんの急なボケに土屋さんが対処しきれていない)のを散見します。
しかし、これはこれで十分面白いですし、もしかしたらそんな「カオス」さえも意図しているのかもしれません。そんな程よい「適当さ」も、ナイツのネタを魅力的にしていると思います!
③ メタなお笑い認知
「メタ認知」とは、簡単に言えば「認知を認知している」ということ。
「あー、自分は今こう考えている/思っているなあ」と、「認知を認知している」ことを「メタ認知」といいます。
ナイツは、塙さんがお笑いに関する本を出したりM1の審査員をしていることもあり、「お笑い」を「俯瞰」(=メタ認知)をしていると思います。
特にそれを感じるのは、「他の芸人のやり方をパクる」ネタです。
そのネタでは、カミナリやオードリーのネタの「型」をパクって自分らのネタをやるのですが、それは他の芸人のお笑いの「型」の認知と、それが自分たちのスタイルとミスマッチであるという認知があってこそできるネタだと思います。
また、英語でやるネタあります。僕は英語教員なので、彼らの英語自体はちょっと・・・と思うこともあるのですが笑、ネタ自体はとても秀逸です!!
「漫才は日本語でやるもの」という共通認識を逆手に取った面白いネタだなあと思います。実際そのネタでは、オーバーに英訳してしまいという「英語ならではのボケ」も見せています(詳細ははネタを見てください!)。
自分たちとお客さんの関係だけでなく、お笑いというものをメタ認知して面白いことを追求していく姿勢は、他の芸人さんと一線を画すナイツの魅力だと思います!!
まとめ
- ヤホー漫才
- 良い意味での適当さ
- メタなお笑い認知
以上の三つが、僕の思うナイツの魅力です!!!
やはり塙さんの存在は大きいと思いますが、土屋さんとの相性の良さもナイツを特別なデュオにしていると思います^ ^
「ああ、お笑いってすごいなあ」ナイツのネタを見ると、いつもそう思わされます。
これからも彼らのネタから目が離せませんね!!
参考文献
塙宣之 (2019). 『言い訳: 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか』集英社新書.
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